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矯正治療について宮島悠旗先生にインタビュー!

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インタビューに答えてくれたのはこの先生

宮島先生

みやじま歯科医院 宮島悠旗 先生

経歴

  • 2005年愛知学院大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2006年東京歯科大学 臨床研修医終了
  • 2010年歯学博士取得(東北大学)
  • 2011年東北大学大学院顎口腔矯正学分野助教就任
    日本矯正歯科学会認定医取得
  • 2014年宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業
    フリーランス矯正歯科医として独立
  • 2017年著書「国際人になりたければ英語力より歯を
    “磨け”」出版(幻冬舎)
    合同会社T&Y Connection設立
    (矯正歯科医として講演、セミナー、教育)
  • 2019年ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞
  • 宮島先生
    説明中の宮島先生
  • 宮島先生
    施術中の宮島先生1
  • 宮島先生
    施術中の宮島先生2

矯正治療にはどのような種類があるのでしょうか?

宮島先生

以前はワイヤー矯正しか直せる方法がありませんでした。永久歯の矯正で言えばマウスピース矯正が10年ほど前から導入し始まり、現在は割合が増えてきています。今回はこの2つの矯正についてお話できたらと思います。

また矯正治療と混同しやすいものとしてセラミック矯正と呼ばれているものがありますが、これは矯正治療ではありませんので注意が必要です。 矯正治療は歯を理想的な位置に動かして正しい歯並びと噛み合わせに整えるものですが、セラミック矯正というのは歯を動かさず歯を削って被せものの形で無理やり歯並びを良く見せるものを言います。 何が問題かというと虫歯にもなっていない健康な歯を削って歯の寿命を縮めてしまうということです。 歯を長く保つことと健康の関係からすると、歯1本1本の価値というのは計り知れないもので、一時的な処置が矯正治療より早くて安いだけで、最終的には歯を早く失ってしまうことにより、体全体の健康を損なうことに繋がるため結局医療費も余計にかかってしまう結果を招きます。 この様な理由からもしセラミック矯正をしようと思っている方には、将来後悔しないためにセラミック矯正の危険性を十分に知っていただいた上で、本当にセラミック矯正をしてもいいのか、改めて考えていただきたいです。 セラミック矯正は歯の寿命を縮めるのに対して、矯正治療は歯の寿命を伸ばします。その上でどちらの治療を受けるのが良いのか、よく検討することが大切です。

ワイヤー矯正とはどのような矯正方法でしょうか?

宮島先生

ワイヤー矯正とはブラケットという矯正器具を歯へ装着し、ブラケットに固定したワイヤーの力で歯並びを整える矯正治療の方法です。

矯正治療の中では長い歴史を持つ方法です。ブラケットとワイヤーが外から見えてしまうため、矯正治療中であることがバレやすいデメリットもありますが、基本的に付け外しの手間が不要であることから治療効果を出せる可能性が高いため、今でも矯正治療専門の歯科医師からよく患者さんに提案されている治療法です。

今はブラケットの種類なども様々で、透明で矯正治療をしていることが目立ちにくいものや、セルフライゲーションブラケットと呼ばれる種類のクリッピー、デーモンシステム、トゥルークリアーなどの新しいブラケットのタイプもあります。

セルフライゲーションブラケットとは、通常ブラケットにワイヤーをゴムや金属線でくくりつけて固定をしていく代わりに、ワイヤーをシャッターで固定する独自の着脱方式で従来のブラケットを使用した矯正治療よりも痛くなくて済みますし、歯並びによっては矯正期間を短縮できる場合もあります。

ただ、セルフライゲーションブラケットでは歯並びを大まかに終わった後の細かい微調整が苦手な場合があります。また、ブラケット自体が特殊な構造となるため従来よりも大きめで下の歯に付いているブラケットが上の歯と噛みやすいというデメリットがあります。

ブラケットとワイヤーを使用する矯正治療もマウスピースを使用する矯正治療もですが、使われている素材のメーカーや違いについては矯正治療に特化した歯科医師の説明を受けられたら良いかと思います。

表側矯正と裏側矯正との違いも教えてください。

宮島先生

裏側矯正と表側矯正の基本的な違いは、裏側の方が外から矯正治療をしていることがバレにくいことです。

ただ一方では裏側に矯正器具を付けると舌に当たりやすく、痛みを伴う可能性が高く、治療期間も長くなります。また裏側は表側矯正に比べて難易度も高く、本当に完璧な仕上がりができる先生は多くはありません。また技術料や材料費等で、表側の矯正よりも高価な治療法となります。

マウスピース矯正について教えてください。

宮島先生

透明なマウスピースを使った矯正方法で、ほとんど矯正治療をしていることがバレません。毎日20~22時間、1~2週間おきに正しい歯並びへ調整するよう設計されたマウスピースを装着していく方法です。

ワイヤーのように付けっぱなしではありませんので、食事や歯磨きが今まで通りご自身の歯でできるため清潔で虫歯や歯周病になりにくいというのが最大のメリットです。

マウスピース矯正を1つとってもインビザラインやクリアコレクト、アノアライナー、クリアライン、など多くのメーカーが取り扱っています。それぞれの過去実績や導入している医院も様々ですので、まずはカウンセリング時に矯正治療に特化した歯科医師の説明をよく聞くようにしましょう。

しかし様々なマウスピース矯正に対する客観的な評価として、世界中で使用されていて医学論文に治療結果が載っているというものは唯一インビザラインだけです。良いものは治療費が高額になるのでは?という質問も受けますが、治療費はまさに治療結果の質の違いです。安くても歯並びが治らなければ意味がないですからね。

矯正治療費はハードルの1つになっていますが、治療費にはマウスピースそのものの材料費だけでなく、検査代や歯を安全に確実にどのように移動させて歯並びと噛み合わせを治す設計を作る技術料など様々な経費が乗ってきます。

最終的には正しい咬合の位置へ歯を動かすことがゴールかと思いますので、ご自身の無理ない予算で、歯の寿命を伸ばして全身の健康寿命を伸ばすための先行投資と捉えて欲しいですね。

矯正時は歯を抜かなければならないのでしょうか?

宮島先生

子供と大人の場合で異なりますが、子供である場合は小学校前半くらいから矯正を始めるのですが、歯を抜かなければならないリスクは減ります。
大人になってから、それまでに何もやらず骨が出来上がってしまうと、65%くらいは歯列矯正時に歯を1本〜4本程度抜くことが多いですね。

日本人を含むアジア人どうしても、骨格上顎がスリムにできていますので、顎の上の歯が並ぶスペースがそれほど広くないです。

また、抜歯することで顔のラインが変わる可能性があります。抜歯をして矯正治療を行うことで横から見た時に口元が出ている人は引っ込められる、つまり口元を退げて相対的に鼻が高くなるよう見せることもできます。

抜歯して矯正治療をするか抜歯しないで矯正治療をするかどうかは、この様に口元を退げたいかどうかで判断することもあります。ただし、元々口元が出ていない方の場合は抜歯して矯正治療をすると口元が退がり過ぎて貧相な顔になってしまったり、法令線が深くなり過ぎたりといったリスクがあるために絶対に歯を抜いてはいけない方もいらっしゃるので、必ず矯正治療の専門の歯科医師に確認するようにしてください。

大人の矯正と子供の矯正では、どのような部分が異なるのでしょうか?

宮島先生

子供の矯正は歯を動かすのではなく、顎がずれない位置で成長するように顎骨の成長をコントロールします。よくある出っ歯や、受け口という口の形は、上顎下顎の歯の土台の骨のズレや成長不足によって起こることなので、マイオブレースなどの矯正器具を使って上顎を正しいバランスに成長させるようにコントロールします。

更に小学校1年生までにマウスピースやワイヤーを使って、土台となる顎の骨のバランスを整えていきます。

骨だけではなく、大人の歯並びは筋肉の発達バランスもとても重要です。子供の頃にできた口周りのクセは、意外と成長した後の骨格に大きく影響をしていきます。

そのため、幼稚園児を〜小学生の顎の成長期のお子さんには、マイオブレースと言った矯正器具を使ってベロの位置を正しい場所に持ち上げるようなトレーニングも行います。こうした具体的なアプローチ方法はお子さんの現状によって様々です。

小児での矯正治療は、永久歯に生え変わるまで続きますので約5〜6年と長くなってしまいます。ですので、お子さんご自身が治したい気持ちを持つと共に、子供の矯正治療にはご家族の協力は不可欠です。

マウスピースを噛ませたり、口を閉じて鼻呼吸をしているか確認したり、日常的にやることは沢山ありますので周りの応援が治療計画通り進めるコツだと思います。

歯並びを悪化させるクセとは何があるのでしょうか?

宮島先生

歯並びに影響するクセは沢山あります。一部をあげますとこのようなものがあります。

  • うつ伏せに寝ていないか?
  • 毎回ストローばかり使っていないか?
  • 口を開けっぱなしにしていないか?
  • 口呼吸をしていないか?
  • 頬杖をついていないか?

意外と驚かれるのですが、顎の骨の形は遺伝よりもこうしたクセや生活習慣によって影響される割合が大きいのです。子供の頃からこうしたクセを直しておくと、将来顎が曲がったりすることを防ぐこともできます。舌やお口の周りの筋肉をバランスよく発達させることで歯が並ぶのに本来必要な大きさに顎の骨が発達してきて、歯並びが悪くなるのを予防できるのです。

芸能人の姉妹や兄弟でも、顔の骨格が違う方っていらっしゃいますよね。生活習慣は将来的な顔の骨格にも影響します。

最後に、矯正後もできる限りキレイな歯並びを維持するコツを教えてください。

宮島先生

矯正治療が完了した後はワイヤー矯正もマウスピース矯正で理想的な歯並びと噛み合わせを保っていくことが大切になります。

矯正治療直後の歯並びは必ず元の位置に戻ろうとしていますので、リテーナーという矯正器具を用いて、矯正後の綺麗な歯並びを安定させていきます。

よく、いつまで保定装置は続けるのですか?と聞かれるのですが、基本的に、歯並びが元に戻ろうとする力はどれだけ時が経っても、弱くはなりますがゼロにはなりません。また、食事のたびに噛む力、舌や唇や頬の力によっても歯は日々少しずつ移動していきます。

歯科医師によってリテーナーの使用期間の説明は違うと思いますが、矯正治療完了後1年間くらいはご飯を食べる時以外はずっとリテーナーを付けていただき、1年経ったら夜だけ装着する。また1年が経過したら2日に1回、また1年が経過したら週に2日。という形で徐々に減らしていくパターンが多いと思います。

矯正治療が完了してからも、綺麗な歯並びを保っていくためには大切な期間になりますので、必ず歯科医師の指示通りリテーナーを使用して綺麗な歯並びを維持するようにしていきましょう。